特別展示・千葉県立美術館所蔵 近代日本の水彩画 千葉市美術館所蔵 無縁寺心澄・石井光楓
2014年5月20日[火] – 6月29日[日]
会期
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2014年5月20日[火] – 6月29日[日] ※この展覧会は終了しました |
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休室日
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4月21日[月]、5月7日[水] |
観覧料
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一般200円(160円) 大学生150円(120円)小・中学生、高校生無料 ※( )内は団体30名様以上 ※ 千葉県在住の65歳以上の方、小・中学生、高校生、および障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料 ※ 同時開催「水彩画家・大下藤次郎」展入場者は無料 |
主催
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千葉市美術館
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今回、『水彩画家・大下藤次郎』展開催にあわせ、千葉県立美術館が所蔵する水彩画を特別に展示します。
千葉県立美術館は、「みる・かたる・つくる」総合的な美術館活動を基本方針として、1974(昭和49)年に開館しました。千葉県ゆかりの美術資料を中心として、近代美術と現代美術の概況の正しい理解に資するため、美術資料の体系的収集につとめ、国内外の美術家の作品及び関係資料の収集、保存活動を行っています。
なかでも、本県にゆかりの深い浅井忠については、本人の作品だけではなくその師弟や周辺美術家の作品、あるいは浅井忠を中心とした水彩画史上の代表的な美術家の作品を多数収集・所蔵しており、全国に知られています。
大下藤次郎と同時代の、あるいは彼の影響によって絵筆を持つようになったひとびとの水彩画をご紹介することによって、近代日本における水彩画の動向の一端についてご理解いただければさいわいです。
また、千葉県立美術館が所蔵する水彩画の名品に引き続き、千葉市美術館が所蔵する作品のなかから、無縁寺 心澄(本名・藤井茂樹 1905–45)と石井光楓(本名・石井政二 1892–1975)の作品をご紹介します。
無縁寺心澄は昭和戦前期に千葉市を中心として活動した画家です。市内で生まれた彼は1926(大正15/昭和元)年に川端画学校を卒業し、主に水彩やテンペラ画を制作していました。28年、第9回帝国美術院展覧会第2部(洋画)に初入選し、30年には日本水彩画会会員となりました。画学校卒業後三年ばかりの間は東京の図案会社に勤務していましたが、退職後は制作に取り組むほか、36年に千葉県美術協会の設立に参加、運営に尽力しました。
夷隅郡浪花村(現・いすみ市)に生まれた石井光楓は、石井林響に日本画を学んだ後、日本美術院で小杉未醒たちから洋画を学びました。院展に出品していた彼は1921(大正10)年、海外に渡ります。当初はシカゴのシカゴのアート・インスティチュートで学び、25年にはフランスに渡り、パリのアカデミー・ジュリアンに入ります。やがて光楓はパリの画壇でも注目され、数々のサロンで入選するようになります。堅実な油彩を描く一方で、林響から学んだ日本画の技術をたくみに取り入れた水彩画は、当時の欧米で話題となりました。31(昭和6)年に帰国後は東京や千葉で美術教師を務めるかたわら、春陽会で作品を発表し続けました。
欧米の美術にあこがれながら千葉に暮らして制作を続けた無縁寺心澄と、「芸術の都」で制作を行った石井光楓。画家として対照的なふたりが描く水彩のちがいはそのまま、「日本からの脱出」を夢見た画家と、異国の地で「日本人ならではの絵画」を求められた画家のちがいです。
今回展示した二人の作品の多くが制作年の同定にまでは至っておりません。制作年については今後も引き続き調査して参りますが、それぞれの作品についてご存知のことがあれば、ぜひ情報を美術館までお寄せいただきたくみなさまにお願い申しあげます。
最後に、本展示の企画にご理解下さり、貴重な作品をご出品いただきました千葉県立美術館、そして作品を千葉市に御寄贈下さった御遺族および関係者の皆様をはじめ、ふたりの画業を今日に伝えるべく御尽力された関係各位に深甚なる謝意を表します。