画人たちの1万時間~写生、下絵、粉本類を中心に~
2014年1月25日[土] – 3月2日[日]
会期
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2014年1月25日[土] – 3月2日[日] ※この展覧会は終了しました |
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休室日
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2月3日[月]、2月10日[月] |
観覧料
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一般200円(160円) 大学生150円(120円) ※( )内は団体30名様以上 ※ 千葉県在住の65歳以上の方、小・中学生、高校生、および障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料 ※ 同時開催「江戸の面影」展入場者は無料 |
主催
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千葉市美術館
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千葉市美術館に新しく加わったコレクションをご紹介している「新収蔵作品展」を開催いたします。今回は、画家の家に伝えられた資料類で、近年寄贈・寄託いただいたものを中心に、参考となる所蔵品もあわせて展示します。
ご紹介するのは、写生、下絵、粉本類が中心で、主に次の三つの資料群です。
まずは江戸狩野派の資料で、幕府の御用を務める表絵師の一家、麻布一本松狩野家の後裔の方より、一昨年度ご寄贈いただきました。幕末から明治期のまくりの状態の下絵・粉本類がほとんどで180点ほどから成ります。筆者名のある資料の多くは、狩野休円玉信(1835~84)によるものですが、玉信は幕府の御用絵師として最後の代にあたります。
二つめは、幕府という公儀に対していわば民間の絵師の資料として、田中抱二(1812~85)の写生帖や縮図類です。抱二は、酒井抱一の最晩年の弟子ですが、これは入門時から最晩年までの、絵に関する雑記帳といえる画冊を揃えており、江戸琳派のものとしては珍しい資料です。また、当館には江戸時代のこうした資料の所蔵品は少ないので、この機会にこれら以外の例も併せてご覧いただければと思います。
三つ目は千葉市ゆかりの近代日本画家、石井林響(1884~1930)の資料です。いかにも遺族のもとに遺されたものらしい私的な趣の下絵や習作、スケッチ類や写真などは、画家が確かに日々を生きてきたという息吹を伝えてくれます。
画人たちは、それぞれいつから絵を志し、どのようにして身を立てていくことになったのでしょう。絵を生業とする者たちが、自己確立のために奮闘した時間の痕跡をたどろうとする本展は、題して「画人たちの1万時間」———。才能のきらめきが命であるかのような絵の世界においても、描きたい内容を切実に持ち、それを可能にする技術を高めていくには機会と時間の積み重ねが必要です。達成した世界を堪能するには到り得ない限られた資料の展示ですが、そのような「画人たちの1万時間」をそれぞれに思い描いてみるひとときとなれば幸いです。