祈りをつづる染と織 -タイの美しい布
2009年6月27日[土] – 8月9日[日]
タイ族の布
会期
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2009年6月27日[土] – 8月9日[日] ※この展覧会は終了しました |
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休室日
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7月6日[月]、8月3日[月] |
観覧料
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一般800円(640円) 大学生、高校生560円(450円) 小・中学生無料
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主催
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千葉市美術館
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後援
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タイ王国大使館
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助成
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財団法人 花王芸術・科学財団
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タイ族の祖先は、古代長江下流域からインド・アッサムにおよぶ広域に住んでいた「越人」であると言われおり、他民族の支配に圧迫され、現在の中国雲南省(シプソンパンナ)、そして東南アジアへと移動、分布した民族です。そしてここでタイ族と呼ぶのも、国としてのタイに住む人々のことだけを意味するのではなく、遠い古代に先祖を同じくし、北方から移動して、タイ、中国、ベトナム、インド、ラオスなどに分布して住む民族を意味しています。
タイ・デーン族、タイ・ダム族、タイ・ルー族など、いくつかに分かれたタイ族は、早くから定住が進んだためか、総じて織の技術に優れ、複雑な織模様を表わし、天然染料による美しい染色の技術を持っていました。母から娘へ伝えられて来た技術と民族の美意識は、タイ族の布に力強く印象的に表れています。衣服は立体的な裁断や縫い合わせがないのが伝統的ですが、その一枚の平らな布を身にまとう時、素晴らしい造形となって我々の前に立ち現れるのです。
また現在ではタイ文化圏の国々は仏教国として知られていますが、民族には古代より自然界に精霊が存在するという信仰が根強くあり、このような仏教以前からの信仰が、タイ族の美しい織文様の中に表現されてきたことも見逃せません。自然、神を擬人化した人型、頭が象で体は獅子であるという動物など、それらは民族が伝えてきた災いを退ける祈りの表れでした。
各国各地に分かれて暮らすタイ族が、古代からの文様を受け継ぎ、お互いに往来がなくても、強い絆による共通の美意識、共通の文様を古代から引き継いでいることには驚きさえ感じます。近代では機械産業、商業主義の産物にとなりがちな感のある布の世界ですが、手仕事の美の生きるタイ民族の布の粋を、この機会に是非ご覧ください。