カラーズ・色彩のよろこび
2008年12月20日[土] – 2009年1月25日[日]
会期
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2008年12月20日[土] – 2009年1月25日[日] ※この展覧会は終了しました |
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休室日
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12月29日[月]- 1月3日[土] |
観覧料
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一般200円(160円) 大学生・高校生150円(120円) 小・中学生無料
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主催
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千葉市美術館
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今年度の所蔵作品展は、同時開催の企画展と何らかのつながりのあるテーマを設定して開催してまいりました。水墨画の名品の揃う「岡山県立美術館所蔵 雪舟と水墨画」と同時開催となる本展は、「カラーズ・色彩のよろこび」と題してみました。墨色の濃淡のなかに万象をとらえようとする水墨画の世界とは対照的な、色彩のよろこびに満ちた作品を集め、「彩る」という行為が見せる諸相をご覧いただきます。
展示は、あらゆるものを虹色に変えてしまう靉嘔の作品から始まります。塗料を生のままぶちまけたような村上三郎の作品や鮮烈な色の響きあいが印象的な辰野登恵子の作品など、まずはにぎやかな色の洪水ーまさに色彩のよろこびに浸っていただきたいと思います。
第2部では、近世・近代日本の版画から、彩色にこめられた工夫の数々を観察します。たとえば非売品の配り物である摺物が見せる金や銀を贅沢に用いた構成、藍色のグラデーションだけで対照を描き切る藍摺の面白さ、あるいは色を変えることで同じ版木から全くイメージの違う作品を生む試みなど。色は何かを再現するためだけに選ばれるのではなく、遊びや計算が大いに介在していることがおわかりいただけるでしょう。
制作された時代を問わず、ある色が強烈な印象を残す作品は少なくありません。続く第3部では「赤」が特別な色として使われた作例を並べてみます。浮世絵版画から江戸中期の紅摺絵や明治期のいわゆる赤絵を、近代日本画からは横尾芳月と小早川清の描く赤衣の美女たちを、さらに戦後の作品から、桂ゆきによる綿を紅絹(もみ)でくるんだコラージュなどを選び、それらの「赤」が持つ共通項や相違点を探ります。
展示の最後では、ある時代特有の色をお見せします。題して「幕末明治の極彩色」。三代歌川豊国や落合芳幾、豊原国周、月岡芳年らの肉筆と錦絵を集め、派手できわどく、刺激的な色遣いから、めまぐるしく転変した時代の相を感じていただければ、と思います。
「色」という言葉にそれこそ「いろいろ」な意味があるように、色彩が語るストーリーは限りなく、本展が提案する視点はその一端にすぎません。けれども「なぜこの色が選ばれたのか」に思い巡らすことは、作品を視る楽しみを必ずやひろげてくれるはず。色遣いにまつわる作り手たちのさまざまなたくらみ、その冒険によって新たな世界が拓けることのよろこびを、ぜひとも会場で体感してみてください。