20世紀版画の巨匠 浜口陽三展
2002年11月2日[土] – 12月23日[日]
会期
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2002年11月2日[土] – 12月23日[日] ※この展覧会は終了しました |
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休室日
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毎週月曜日(休祝日の場合は翌平日) |
観覧料
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一般800円(640円) 大学生・高校生560円(450円) 中・小学生240円(200円) ※( )内は団体30名以上及び前売料金 |
主催
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千葉市美術館、日本経済新聞社、クラーク財団
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協賛
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松下電器、日本興亜損保
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協力
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日本航空
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監修
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小林忠(学習院大学教授・千葉市美術館館長)、サミュエル・C・モース(米国アーモスト大学教授・クラーク財団理事会会長 )
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浜口陽三は1909年(明治42年)和歌山県に生まれ、5歳から12歳までを千葉県銚子に過ごしました。のち東京美術学校彫刻科に入学、中退して1930年(昭和5年)フランスに渡り、独学で油彩、銅版画を学びました。第二次世界大戦後、銅版画の制作を本格的に始め、過去のものとなっていた技法メゾチントに、色彩を導入することで独自の世界を確立しました。
メゾチントは17世紀に発明されたもので、ベルソーという器具を使って画面全体に点刻線を縦横に規則正しく作り、そのささくれた素地を取り除くことによって表現する技法です。インクを銅版にひいて刷れば、ささくれが残ったところは黒くなり、ささくれを取り除いたところは白くなります。そのささくれをゆっくり丁寧に削ることによって黒から白までの微妙な階調を得ることができる技法です。
浜口は、19世紀の石版画の発明や写真製版の登場によって忘れ去られたこの技法に、独自の工夫によって透明感や軽さを与え、さらには色彩を導入することによって、幻想的な表現を生み出すことに成功しました。西欧において生み出され歴史の片隅に追いやられていたこの技法を、20世紀の新しい表現として甦らせた功績は、1957年にサンパウロ・ビエンナーレで日本人として最初に版画大賞を受賞し、東京、ルガノ、ヴェネチア、リュブリアナ、クラコウなどの国際展で多くの受賞を重ねたことによっても認められています。
本展覧会では、国立国際美術館の所蔵作品を中心に、初期のモノクローム作品から代表的なカラー・メゾチント作品に加えて、2000年12月に惜しくも亡くなられたその浜口陽三氏が手元に残していたパステル・素描など今回はじめて公開される作品を含め、浜口が築き上げた幽玄的とも言える独自の世界を紹介いたします。