ブログ
つくりかけラボ15 齋藤名穂アーティストワークショップ「手ざわりハンティング〜さわる地図のプレートをつくろう!」を開催しました

2024.9.18 つくりかけラボ 美術館ボランティアスタッフ

2024年度に開催した、つくりかけラボ15 齋藤名穂関連ワークショップを報告いたします。
***************************

齋藤名穂さんのつくりかけラボ (2024年6月12日〜9月29日)では月に一度、2日連続してアーティストワークショップ「手ざわりハンティング〜さわる地図のプレートをつくろう!」を開催しました。6月のテーマは「さや堂」、7月は「企画展」、8月は「常設展」です。

ワークショップの最初に齋藤さんからは、このワークショップで作る「さわるプレート」について説明があります。

山下学芸員(画面右)から注意事項を最初に聞いてから、齋藤名穂さん(画面左)のワークショップが始まります。

説明が終わると移動です。6月は美術館1階のさや堂へ行き、歴史的な建築物をさわり、手ざわりを集めます。

さや堂をみたりさわり終えたら、ラボに戻ります。一人1枚、白いプレートを渡され、素材を3種類選び、感じてきた手ざわりをプレートに制作していきます。

作りおえたら全員の作品だけを中央に並べみんなで触り、コメントを言っていきます。

7月のワークショップのテーマは「企画展、岡本秋輝」です。全員で8階展示室に入り、実際にはさわれないので、作品を「目でさわる」という体験をします。

ラボに戻って制作します。7月は、作品として多く描かれている孔雀や植物から、素材の色は緑でした。皆さん黙々と集中して作ります。

様々な緑色の素材を使い、個性的な手ざわりを感じる作品がどんどん出来上がっていきました。

8月のアーティストワークショップでは、最初に名穂さんが群馬県立美術館のために制作した「赤」のプレートをさわって、感じたことを話し合います。

皆さん揃って5階の常設展示室へ行き、「目でさわる」体験をします。

そして展示室からまたラボへ。今回のテーマカラーは赤、青、モノクロ。素材の説明をうけて、制作に入ります。

参加者が制作した作品は、ラボ内のダンボールでできた展示台に置かれ、ラボの来館者はいつでもさわることができます。

今回のアーティストワークショップで印象的なのは、アートとは少し違った、デザイン的な考えのお話が聞けたこと。たとえば、「ここで作るプレートは自分のためだけではなく、ラボに来て、プレートをさわってくれる誰かと会話をするように作って欲しい」と齋藤さんが参加者に伝え続けられました。そして、「使う素材を3種類に限定するのは、素材を増やすと感触が増え、伝えたいことが曖昧になってしまうから」というお話もありました。

さわるという感覚を真剣に考えるこのワークショップは、いまを生きる私たちが日常生活であまり意識していない「さわる」体験を増やし、考え、話しあうことで、自分の中で新しい引き出しが増えている!!という感覚がありました。そして回数を重ねることで感度も上がると感じました。

*一部参加者アンケートから*

「アーティストさんとご一緒に体感し、作成し、フィードバックし、充実した時間が過ごせました。娘も思った以上に集中していてよかった」(千葉市内)

「触覚を通して建物を深く細かくていねいに観察できたことで、自分にも新しい気づきや意外感があって、ワクワクしてきた。色々考えながら「手で作る」ことは本当にとても楽しい」(東京都大田区)

「江戸時代の絵を見たところがとてもよかった。私も絵をかいて、かざってみたい」(8歳、千葉県内)

「絵を触覚でみた事がはじめてで、そこから見えてくる景色にびっくりしました。様々な素材と出会えたのも楽しかったです」(千葉市内)

(つくりかけラボ運営担当 樽谷孝子)

Search