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亜欧堂田善展関連WS「はじめての銅版画ーエッチング、線から生まれる表現の魅力」を開催しました

2023.3.14 展覧会関連 みんなでつくるスタジオ

2022年度に開催した展覧会関連ワークショップを報告いたします。
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2023年2月4日(土)と23(木・祝)に、千葉市美浜区で銅版画工房エフプレスを主宰されている銅版画家の渕沢照晃さんを講師としてお招きし、亜欧堂田善展関連ワークショップ「はじめての銅版画ーエッチング、線から生まれる表現の魅力」を開催しました。昨年度も渕沢さん講師によるエッチングのワークショップを開催したところ、大変好評をいただいたため、今回はエッチングの制作を一通り体験できるプログラムを2回開催する運びとなりました。

最初に、渕沢さんから銅版画とはどういった技法なのか、エッチングはどのような仕組みで刷れるようになるのなど、基本的なことをレクチャーいただきました。

銅版画への理解を少し深めたところで、いよいよ制作開始です。銅版の下準備→下絵の転写→彫り→腐食→インク詰め→刷り、というエッチングの基本的な作業行程に沿って進めていきます。


研磨剤で磨いて、鏡のようにピカピカにしま


グランドという防腐剤を銅版に均等になるよう流しかけます


グランドを蝋燭で炙り、煤をつけて黒くします


黒い版面に、下絵の鉛筆がくっきりと転写されました

午前中のうちに彫りまで作業を進め、お昼休憩に入る前には、亜欧堂田善について担当学芸員よりショートレクチャーもありました。日本に銅版画という技法が入ってきて間もない頃、どんな背景で作品が作られたのかや、田善作品の持つ魅力についてなど、展覧会の見どころが語られました。


午後も彫り作業に取り組み、線を描き終わった人から銅版を腐食液へ。腐食はに40分程度かかるため、その間はじっくりと田善展を鑑賞する時間となりました。少しでも制作プロセスを体験していると、作品の見え方も変わってくるから不思議です。

 

40分経ったら液から引き上げ、ついに待ちに待った刷り作業へと進んでいきます。
まずは渕沢さんによるデモンストレーション。今回はインクの色も3種類あるため、表現の幅も広がります。

銅版にインクを詰め、余分なインクは拭き取り、プレス機に設置して圧をかけ刷り上げていく。
一連のやり方がわかったら、あとは自分のペースでどんどんと手を動かしていきます。
続々と完成していく作品達。3色のインクを全て試した方もいれば、基本色を極めるべく黒に何度もトライしている方もいました。

最後に、刷り上がった作品は、全員で並べてお披露目会です。
お互いの作品について感想を伝えあったり、制作行程の中でのちょっとした工夫について情報交換をしたり。ずらりと並んだそれぞれの作品を前にしながら、渕沢さんも交えて大いに会話が弾みました。

普段の生活ではなかなか触れる機会の少ないエッチング。予想していたより簡単だったという方、思っていた以上に難しかったという方。感じ方はそれぞれの様でしたが、完成した作品達はどれもはじめての制作とは思えないような力作ばかりでした。

参加者の声(アンケートより抜粋)
・あまり学校で学べないような技法について学べたのがよかった(14歳)
・同じ描画方法を用いた作家の展覧会と合わせて楽しめるので、知識や技術がすっと入ってくる感じがした(20代)
・銅版画が何故細い線で表現できるのか、一通りのフローを通して理解できた(50代)
・講師の先生の説明が優しく丁寧でわかりやすく、お人柄の良さがにじみ出ていた。工房のクラスもきっと良い雰囲気なのだろうなと思った(30代)
・難易度のとても高いワークショップだと思っていたので、ここまで満足のいく仕上がりになるとは思っていなかった(20代)
・最後みんなでお互いの作品を見ることも、驚きと、自分にない工夫の参考になった(30代)

(報告者:ワークショップ担当 田口由佳)

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