ブログ
「カラダを通して味わうアート vol.5」を開催しました

2022.3.19 展覧会関連 みんなでつくるスタジオ

2021年度に開催した、ワークショップパートナーによる企画を報告いたします。
***************************

2022年2月27日(日)に「カラダを通して味わうアート vol.5」をオンラインで開催しました。
本プログラムの3つの特色に沿って、21年度最後の開催となった今回のワークショップの内容・参加者の感想を振り返っていきたいと思います。

今回も「①身体を動かし」「②みんなで(複数人で)」「③アートを鑑賞する」ことによってもたらされる豊かさを分かち合いました。
まず、身体を動かして作品の世界に入り込み、登場人物になってみることで、その時代、その場所での感覚・感情を体感することができます。


葛飾北斎《冨嶽三十六景 相州仲原》作品鑑賞、なってみたい登場人物を選んでいる時の様子

写真にある葛飾北斎の「冨嶽三十六景 相州仲原」を鑑賞した際、富士山を眺める人物になってみた方は「富士山の周りが開けていて、とても美しいなぁと感じた。今はビルの隙間から見るので、全然感覚が違ったんだなぁと思った」と仰っていました。


登場人物になってみている時の様子

次に、みんなで(複数人で)鑑賞することで、多様な視点や感じ方が共有され、新しい発見や気づきがもたらされます。今回は、9名が3つのグループに分かれて、「自分たちで作品の場面を演じてみること」と「他のグループが演じる場面を観ること」を体験しました。他のグループが演じる場面を観ることにより、「自分たちは切り取らなかった登場人物により着目できた。1つの作品でもいろいろな味わいがあるんですねぇ」といった声が聞こえてきました。


グループで登場人物をつなぎ合わせたシーンを発表している時の様子

最後に、アートを鑑賞することで、私たちの日常に目を向ける機会になります。アートは、いわば「鏡」のような存在かと思います。
最後の感想共有でも、作品の登場人物になってみて、そこで描かれている人物や世界を体感覚を通して実感を伴って受け取ることで、「作者はなぜこの作品を描いたのか、何を私たちに伝えようとしていたのか。そのメッセージを受け取った私たちはこれからどう生きていくのか」を考える契機になったという声が分かち合われました。

身体を動かすこと(演劇的なアプローチ)は、体験する機会も少なく、何をするのか・何が起こるのかイメージがつきにくい部分もあるかと思います。一方、身体を動かすことは純粋に楽しいですし、それによって、「自分は何を感じるんだろう、自分に何が起こるんだろう」と、思考や想像を超えた新しい世界へ足を踏み入れることもできます。

22年度も引き続きワークショップパートナーとして活動させていただきます。
9
月に対面でのワークショップ開催を予定しておりますので、みなさまと一緒に「体験」できることを楽しみにしております!

参加者からの声
・「1人で鑑賞することも好きだが、皆で演じたり鑑賞したりすることで、同じ作品でも感じることに違いがあり、おもしろさがあると感じた」
・「キャプションの情報や時代の風物詩などに着目して、通り一遍で作品を見ていたが、共感を持って見ることができ、より作品と通じ合えた」
・「タイムスリップをして、登場人物と同じ時代、同じ場所に自分がいるような感覚があり、豊かな体験だった。日常でも、想像力を使って、人・もの・自然を眺められると感じた」
・「これまで作品の登場人物の立場で、見ているもの、聞こえる音、手足の温度、気持ちなどは想像したことがなく、鑑賞の新しい視点が得られた。これらを味わっていくと、作者の意図もより感じられるのではないかと思った」
・「芸術作品を通して、作者が何を表現しようとしているかを知っていくことが、私たちがどう生きていこうかを考えるきっかけになると実感した」 

(報告者:高橋直裕 )

Search