千葉市美術館
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戸張 孤雁 とばり こがん
玉のり
木版、紙 / 35.2×25.3cm/大正3年(1914)





戸張孤雁(1882−1927)は東京日本橋の生まれ。片山潜のもとで英語を学んだことがきっかけで明治24年に渡米、まずは洋画と挿絵を学ぶ。かの地で荻原守衛と出会い、密なる親交を結ぶようになるが、明治43年守衛の突然の死に遭い、以後まるでその遺志を継ぐかのように彫刻へと転向する。はじめ守衛の圧倒的な影響下にあったが、やがてモデルの心の揺らめきと造形とが呼応するかのような、柔らかく流動的な人物彫刻に新境地を開いた。彫刻に没頭する一方で大正期はじめには木版画にも手を染め、多分に懐古的ではあるがマッシブかつ動的な表現に彫刻家らしい視点を見せる、印象深い作品の数々を残している。

本作の舞台は浅草ロック、見せ物小屋の内部である。おそらくは開演前なのだろう、玉乗り芸人の向こうに客の群れが垣間見えている。玉乗りや綱渡り、足芸など、孤雁は好んで曲芸を主題に選んだが、それは人体のヴォリュームや動きに寄せる、彫刻家としての視線に由来しよう。なるほど、のっぺりと黒い平面で女体のふくらみや重さ、ぬくみまでを伝え、また模様だけで球体の丸みを描ききる技は秀逸である。対角線を基調とする緩急ある構図、レンガ色と緑青色の澄んだ響き合いも目に快い。ひとり孤雁のみならず、大正期の創作版画界をも代表する傑作といえよう。



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