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葛飾 北斎 かつしか ほくさい
冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏
横大判錦絵 / 24.8×37.3cm/天保2〜4年(1831〜33)頃





葛飾北斎(1760-1849)が天保2年頃起筆したこのシリーズは、霊峰富士に対する庶民の信仰心にも支えられて、大変人気を呼んだらしい。また当時輸入された舶来の藍色、いわゆる《べろりん藍》を積極的に用いた独特の色彩感覚も注目される。主版を藍摺とした36図が出版された後、それが人気を呼んで主版が墨摺の裏富士とも呼ばれる10図が追加されている。

すでに70歳に達していたとは思えない新鮮な感性で、時や場所によって様々に姿を変容させる富士に意欲的に取り組んだこの作品は、北斎の風景画家としての地位を不動のものにし、同時期に「東海道五十三次」のシリーズを発表した広重と共に、浮世絵風景画の在り方を一新し、風景画の位置付けを大きく高めた意義深い作品である。

本図は、ダイナミックな波のうねりに圧倒される刺激的な作品としてつとに名高い北斎の代表作。豪快に立ち上がる波が、大きく雄大なはずの富士山を小さい存在に位置付け、さらに波の飛沫が生き物のような動きを備えるのに対し、翻弄される小舟に乗る漕ぎ手たちは人形のように動きを硬直させるという、二重の逆転の発想が面白く新鮮である。これは同時に動と静の対比であり、富士の冷徹さ、人間の無力さが、波の躍動の中に確かな主張をしている。

波を際立たせるために空は控えめな色版だけで現されている。本版は褪色とヤケによりさらに雲形がわかりにくくなっているが、摺の良好な作品である。



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