千葉市美術館
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菅谷元三郎 すがや もとさぶろう
老人像
油彩、カンヴァス / 116.8×80.4cm / 昭和3年(1928)


 


闇の中に、老人の顔と、組んだ手が浮かび上がる。最初に眺める時そんな印象を受ける。よく見ると、青い服を着て椅子に座る実直そうな老人がきちんと描かれているのであるが、青衣は背景の青に融け込み、浅黒い顔と手のみが浮かび上がる。光を得られず、玄冥の中に静かに呼吸する老人は、朴訥ながら厳しい存在感を主張して揺るぎない。昭和3年第9回帝展出品。菅谷にとって初めての入選作である。

菅谷元三郎の夫人によれば、この老人は千葉機関区の機関夫であるという。当時の鉄道省の千葉機関区は、今のJR千葉駅付近にあり、俗に千葉機関庫と呼ばれていた。生命の躍動に例えられ、力強く雄々しく走る蒸気機関車、それを支える機関庫・機関夫には骨太の黒こそふさわしい。

菅谷元三郎は、明治28年(1895)千葉市赤井町の生まれで、旧姓を藤井といった。無縁寺心澄の叔父に当たる。千葉中学校を卒業後、東京の太平洋画会研究所で中村不折に学び、また満谷国四郎の影響も受ける。大正14年に千葉市幕張町へアトリエを建立し、昭和2年から太平洋画会展、同3年から帝展へ出品、同10年無鑑査となる。昭和21年8月25日、50歳で死去。

菅谷は風景画も描いたが、なんといっても人物画が出色。展覧会の出品作もほとんど人物画である。行動は万事控えめで表面に立つことはなかったというが、アカデミックで克明、時として暗すぎる画面の内側に、人間の生きざまを苛酷なまでに見据えた深い想いが潜んでいる。



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