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浜口陽三
19と1つのさくらんぼ
カラーメゾチント、紙 / 23.3×53.5cm / 昭和40年(1965)




浜口陽三(1909-2000)は和歌山県の生まれ。生家は千葉県銚子で代々醤油醸造業を営んでおり、浜口自身も六歳で同地に移り住んでいる。


はじめ彫刻や油彩を学ぶが、1950年前後に銅版画へと転向、運命の技法ともいうべきメゾチントに巡り合う。やや粗密にばらつきのある初期のモノクローム画面は、やがて複数の版へと展開し、カラー・メゾチントという新たな分野を切り拓いた。微粒子の集積するなかにさまざまなモティーフの浮かぶ、柔らかく静謐な画面が高く評価され、パリ、そしてサンフランシスコを拠点に制作を続けた。


〈19と1つのさくらんぼ〉は1965年、浜口のカラー・メゾチントが精巧と洗練を極め、代表作を次々に生みだしていた時期の作品である。この果実に寄せる作者の執着は並々ならぬものであるが、本作ほど写生と作為とがほどよい均衡を見せる例は他にないだろう。手ざわりのよい毛織物を思わせる格子柄を背に、熟れたさくらんぼが歌うごとく、踊るごとく並ぶ。列を離れたたったひとつの存在が、空間の深さと広さを暗示する。さくらんぼという平凡な素材が厳格な構成とメゾチントという技法を得て、神秘すら感じさせる力作である。


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